ウエハースさん、お手紙をありがとうございました。
こちらこそ、本当に大変お待たせしてしまいました……。お変わりなくお過ごしですか?
お手紙に、夏が去ったかもしれない、とありましたが、きっともう本当に去ってしまった頃なのではと思います。こちらも朝晩はすっかり過ごしやすくなりました。近年、春と秋がほとんどないような気候になりつつある感じなので、日中はまだまだ暑いなぁと思っているうちに、あっという間に秋を通り越して寒くなってしまいそうです。
学校の先生業は慣れてきましたか? 面白い反面、手を焼く部分もあるとのことでしたが、子育てと似ていて一筋縄ではいかなそうな、でもきっととてもやりがいのあるお仕事なのだろうと思います。前回も書きましたが、わたしは考えすぎたり緊張しいだったりもあって教師を断念しましたが、最近はそういうのがなかったらとてもやってみたかったお仕事のひとつかもしれないと思うようになりました。なので、お話お聞きするのが楽しいです。また色々聞かせてくださいね。
さて、何から書いたらいいのやら……。ここ数ヶ月色々なことがあって、書きたいことがいっぱいです。
まず、とても大きなニュースを! SNSでもうご存知だとは思いますが、ご報告させてください! わが家に子猫がやって来ました!! 猫歌人の仁尾智さん宅で保護されていた三毛の子猫を、家族でたくさん話し合った結果、わが家で譲り受けることにしたのです。名前は「はぎ」です。代々焼き物関連の名前をつけることの多いわが家なので萩焼から取ったのですが、実は、次にメス猫を飼うとしたら「はぎ」にしようと前々から考えていて、今回写真を見て「これははぎちゃんだ!」とわたしが一目惚れをしてしまったのがきっかけでした。
そうして夏のある日、はぎがわが家にやってきました。せめて2〜3日はケージに入れて先住猫たちに慣れさせようと思っていたのに、最初の夜にケージのなかで大暴れして鳴き続け、根負けして結局出すことに……。先住たちは怖がって近づかなかったので、とりあえず家の中を探索するはぎに一晩中ついて回りました。一通り狭いわが家を確認し終えると、安心して落ち着いたようでした。翌日からは、先住猫たちとの触れ合いが始まりました。せととおとじろうが来たときはびっくりして1週間2階の寝室に引きこもって出てこなかったかんじろうでしたが、なんと今回は一番にはぎを受け入れてくれて、間もなくベッドで一緒に寝るように。せとははぎが近づくと「ううううう」と唸るけれど、色々理解しているようで、さすがの貫禄で落ち着いていました。おとじろうはというと、最初の日キャリーバッグのなかのはぎに近づいて匂いを嗅いだわりには、その存在を認識するのが遅いみたいで、はぎが近づいてきてやっと「ううう、シャーーー!」と威嚇をしました。というか、おとじろうの「シャー」を聞いたのはこれが初めてでした(笑)。 それでも1週間ほどで全員慣れ、約1ヶ月経った今、かんじろうとかけずり回って、せとにタックルして、おとじろうには耳の奥まで毛づくろいをしてもらっている、はぎです。もうすっかりうちの子。子猫の可愛らしさの破壊力に、一家全員メロメロでございます。新しい細胞の瑞々しさというか、家の中が明るくなるほどの命の輝きというか、なんかそういうものをものすごく感じて驚いています。やばいです(語彙)。
そして、もうひとつご報告を。新刊書籍が出ました! こちらもご存知かと思いますが、実は久しぶりの単著です。『ねこの描き方れんしゅう帖』(日東書院 刊)といって、わたしが普段描いている猫の絵の描き方指南書になります。最近の作品もたくさん載せていただいたので、ちょっとした作品集的でもあります。制作時期が5月に松山で展示をした頃と被っていたのでなかなかハードなスケジュールとなりましたが、頑張りました! わたしはとても飽きっぽい性格でもあり、よくコロコロと画風を変えているのですが、色々なパターンの猫の絵が楽しめるので、我ながら飽きっぽくてよかったのかも……? などと自賛しております。オランダにお送りする術をまだきちんと調べられていないのですが、黒猫の手ぬぐいと一緒に必ずやお送りしますので、少々お待ちいただけましたら幸いです。
それから、これはまだ正式に確定とは言い切れないのですが、多分来年引っ越しをします! というのも、築30年のわが家があちこちガタが来ていて、リフォームをしなければということになっていたのですが、今住んでいる駅から6つ奥に入った駅にとても良い物件を見つけまして、そちらをリフォーム(そちらもなかなか古い家なのです)して引っ越そう! ということになり、契約まで済ませました。もちろん今より広くなり、なんとお庭もついています。元々古い家が好きなこともあり、飴色になった柱や階段、床板、古い仕様の広い玄関、こぢんまりとした佇まいのお庭、ベランダの懐かしい意匠の鉄柵など、萌えるポイントがたくさんあったこの物件を、古さと新しさの混在した家に改装したいと思っています。今の地元には友人知人もたくさんいて、馴染みのお店もいっぱいあって、離れるのは少し(いやかなり)複雑な気持ちなのですが、沿線ということもあり、地元には片足半くらい突っ込んだまま生活できたらいいなと思っています。また進捗ありましたら、都度ご報告しますね。
そんなこんなが立て続けにあったり、繁忙期が続いていたりして、実はちょっと疲れが溜まってしまい、先日鬱症状が出てしまいました。もうながいこと寛解に近い状態が続いていたので、久しぶりに何とも言えないあの感じ、どす黒くて重たいものにずっと乗っかられているようなあの感覚が蘇ってきて焦りました。深みに嵌ってもがいていて、底に手をつけば浮上できるのだけど、底が見えない。でも、数年前に受けた認知行動療法(スキーマ療法)のカウンセリングのおかげもあってか、今回はわりとすぐに底に手をつき、浮上するスピードも速かったので本当に良かったです。底まで潜って浮上するのに必要な体力みたいなものもついてきた感じがします。
とはいえ、パレスチナ連帯の活動にも時々ですが参加しているなかで、全く進展しない停戦交渉や、日々伝えられる状況の凄惨さに、病まずにいられるのが不思議なくらいです。「子供を殺すな」「誰も殺すな」というこんなにもシンプルなことを、世界はどうして止められずにいるのでしょう。パレスチナのことは、オランダではどのように、政府レベルで、一般市民レベルで、語られているのかも気になります。
さて、学校の教科書で印象に残っていることや、好きな言葉など、とのことですが、『スイミー』とか『モモ』とか『星の王子様』とか? 教科書だったか自分で読んだのだったか記憶が混在しているのですが、勉強が苦手なわりに国語だけは好きでした。あ、このブログのキャプションの「カプカプ」じゃないけど、宮沢賢治のお話はどれも好きで、読むようになったきっかけは小学校の教科書だったと思います。思い出してきましたが、ヘルマン・ヘッセの『少年の日の思い出』は、たしかに教科書で読んでいて、今でも思い出すと胸がきゅーとなります。
好きな言葉は、色々考えてみたのですが、エレファントカシマシのボーカルの宮本浩次さんが言っていた「生きてるとのぼりくだりのエブリデイ」が刺さったのを思い出しました。つまるところ「人間万事塞翁が馬」ということでしょうか。元々わたしは宮本さんが大好きなのですが、彼の人を元気にする力はすごいと思っていて、色々なことを小さくしてあっけらかんと吹き飛ばしてくれるけれど、軽快な表現とは裏腹に決してその言葉は軽くはないと感じます。そういえば、鬱状態に陥っていたときにこの言葉を思い出していれば良かったなぁ!
なんだかとても長くなってしまいました。
次回からはもう少し短いスパンで書いていけたらなぁと思います。
季節の変わり目かと思いますので、くれぐれもご自愛ください。それではまた。